子育て いじめ 不登校 ひきこもり 暴力 アルコール 薬物依存 拒食 過食症 リストカットなどの予防、解決を考える会。北海道内観療法懇話会 臨床内観療法研究会
 
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  子育て・いじめ・不登校・ひきこもり・暴力・アルコール・薬物依存・拒食・過食症・リストカットなどが社会問題となっています。これらの予防・解決に内観法、内観療法が有効であると考え、その予防・解決について考えます。

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今日の当院の病棟内・内観療法システム
札幌太田病院
根本 忠典・篠田 崇次・佐藤 剛介
宮本 舞・太田 耕平

今日の当院の病棟内・内観療法システム 
1. はじめに:

 近年、不登校、家庭内暴力、食行動異常、アルコール・薬物依存、うつ病などで、内観療法を含む入院治療を必要とする人々が加増している。
当院では、過去25年の内観療法の実践経験から、症例に適した方法を改善・工夫してきた。病棟内で効果的に内観を行う、独自の「内観マニュアル」(平成7年友田龍多氏作成)を原則とした多種多様な方法を採用し、平成10年度343名、11年度404名、12年度396名、平成13年度545人(延べ人数)に施行し、治療効果を上げている。そのシステムについて報告する。


2. 内観勤務表と内観面接一覧表:

 「内観勤務表」を使用し、勤務態勢をシステム化することで朝6時から夜8時までの内観指導が可能となる。現在、看護師2名(内観担当看護師長、副看護師長)心理士8名、介護福祉士1名、酒害カウンセラー2名、内観指導員1名、計14名の内観専任職員が、交代で指導にあたっている。

 医師より内観導入の指示が出ると、看護師、内観担当職員が院内LAN(local area network)の入院患者データベースを検索し、内観者の情報を収集と指示箋の作成にあたる。「内観面接一覧表」に内観者氏名、性別、年齢、病名、内観場所、内観テーマ、留意事項、指導者氏名、面接時間などを記入している。


3.内観専任職員と医師、看護師の参加、協力:

 内観専任職員、看護部職員、常勤医師の協力により、病棟内の内観療法が成立する。内観専任職員の面接指導には、日勤の看護師が一緒に入り、3問の回答を記録することにしている。また、常勤医師9名(内6名が内観を体験)が、日勤帯の空いている時間や当直時の早朝、夜間に面接指導に入っている。以上のような職員全体の協力態勢により、正確な精神状態の観察、職員間の情報の共有と協力が可能となり、精神分裂病を含む幅広い症例に治療効果を上げる上で重要である。


4.内観療法記録:

 内観療法記録とは、面接時の3〜5問の回答、表情、流涙、情動の有無、テーマの設定、問題点、不満の有無、指導内容などを簡潔に記録するものである。次の面接者への申し送りや治療の過程、面接者の反省、研究などが可能となる。また、家族に対しての提供資料として用いることもある。


5. 内観場所、方法、時間など多種多様な導入法と内観療法:

 日記内観、記録内観、書籍、資料、ポスター、テープ、ビデオ、オリエンテーション、院内内観懇話会、自分史一覧表の作成などで患者とその家族に動機づけを行いっている。内観場所は、内観室(個室、2人室、3人室、4人室)、病室(個室、2人室、4人室)、保護室などで行う。

 屏風内観、3日内観、半日内観、ベッド上での内観、1日3〜4回の面接を行うゆったり内観、診察時や廊下、トイレなどであった時に随時拝聴する随時内観など多種多様な方法を行い、性別、年齢、病気、症状、など、症例に適した面接者を選んでいる。

 テーマは母、父など人物に対する回想の他、飲酒内観、シンナー内観、薬物内観、身体内観、心に対する内観など、個人の問題に合ったテーマに重点をおいている。また、日常生活に、より内観効果を活かすことを目的とする「行動内観」(代表:高橋正氏)を一部取り入れたり、時に過去の苦しかったこと、悲しかったことやいじめられ、虐待された体験などを積極的に拝聴するカウンセリング技法なども用いている。

 入院治療に対し、攻撃的、非協力的であり、保護室の使用を余儀なくされる場合や、親への恨み、つらみが強い患者に対しては自分の手、足などの回想(身体内観)を導入テーマとすることで、与えられた恩恵の再認識が可能となり、後の人物に対する内観がスムーズに行われることが多い。

 退院前に入院期間中の「病院職員に対する自分」などをテーマに三日内観を行い、一週間の集中内観では気付きや反省が浅い症例に対しても内観効果を深めている。


6.家族療法としての家族内観の実施:

 内観最終日、(1)内観者の労をねぎらう、(2)本人の精神的成長を家族に知ってもらう、(3)ボディーワークでの家族間の信頼関係の回復、などを目的に家族内観を実施している。終了後の家族のリポートからも効果が伺える。家族が遠方に住んでいるなどの理由から、来院するのが困難の場合「集中内観で気付いたこと、これからの決意」と「家族へのお礼とお詫び」のリポートを電話で読み上げてもらったり、郵送するなどしている。また、最近では家族内観実施前、家族に2〜3時間程の内観を体験してもらうなどの家族療法的関わりも行っている。家族全体の治療に向き合う姿勢が必要である。


7. 内観後の関わり:

 内観療法後は、クリティカルパス(治療計画書)に沿った集団療法、運動療法、音楽療法などの各種作業療法を行っている。退院後は、外来での日記内観や第1,2,3デイケア、ナイトケアなどのプログラムを通し、社会復帰を支援している。また、断酒会、断薬会や「北海道内観懇話会」、「北海道いじめ・暴力・虐待問題研究会」などの入会を勧め、その後の心の支援に努めている。


8.おわりに:

 当院では、以上のような様々な工夫、柔軟な対応により安定した内観指導の体制を保持し、攻撃的で興奮し、幻覚、妄想を呈するような症例に対しても内観の治療効果は認められてきた。今後も内観マニュアルを原則とし、工夫、研究、改善を重ね、内観療法システムを検討していきたい。

【参考文献】
 1) 「十段階心理療法」:太田 耕平、第9版第1刷発行、2002.

 2) 「薬物依存と病棟内・集中内観療法―とくに適応と有効性を高めるための導入などの工夫―」:太田 耕平、日本神経精神薬理学雑(Jpn.J.Neuropsychopharmacl.)20:249−252、2000.

 3) 「札幌太田病院内観マニュアル」:作成:友田 龍多、監修:太田 耕平、2版第1刷発行、2000.





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