子育て いじめ 不登校 ひきこもり 暴力 アルコール 薬物依存 拒食 過食症 リストカットなどの予防、解決を考える会。北海道内観療法懇話会 臨床内観療法研究会
 
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  子育て・いじめ・不登校・ひきこもり・暴力・アルコール・薬物依存・拒食・過食症・リストカットなどが社会問題となっています。これらの予防・解決に内観法、内観療法が有効であると考え、その予防・解決について考えます。

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しあわせに暮す知恵が見つかる内観療法
―家族関係の改善、修復―
上野 ミユキ(札幌太田病院)

T はじめに: 
 筆者は家族や学校、職場での人間関係のトラブルによる悩み、苦しみなどの解決を求めて病院で「内観療法」を体験する受療者と関わっている。その中で彼らは、悩み苦しみが自らに起因していることに気づき、その解決法を少しずつ見つけ、今後の目標や、決意も明確になるようである。そしてこの内容を文章にして家族に伝え、家族関係の改善に結びつく家族療法的な関わりとして「家族内観」というものを実施している。

 このボディー・ワークを含む「家族内観」ではその家族固有の交流パターンなどに気づき、改善修復の契機にする。更に日常生活の中で生かす具体的な方法を考える。

 今回、家族内観を含む病棟内での「内観療法」の目的、方法、テーマ、効果などについて札幌太田病院での臨床経験を中心に述べる。

U 病棟内での内観療法の特徴:
 当院では「十段階心理療法」のマニュアルに基づき、患者の入院から退院、そして社会復帰までを十段階でケアプランしている。入院と同時に内観日記による記録内観が開始され、ゆったりと内観に導入し、第4段階に集中内観が計画されている。


1.達成目標

 この集中内観は患者の症状、年齢により、自室で日数をかけて行う場合と、内観室で7泊8日で実施する方法がある。症例により深まりには種々のレベルがあることに十分留意して、内観のテーマを与え、年代を区切る。いずれも以下の項目の達成を目的としている。

1)自分の身体の価値に十分気づき、先祖や両親から頂いたこの身体の大切さが分かる(図1)。

2)今までの人生の被愛体験を再認識する。

3)病気へのこだわりから解放される。

4)過去の心的外傷に解決の方向を持つ。

5)両親、家族への謝罪をきちんとする。

6)自らの力で明るい目標を設定する。

7)集中内観を無事終えたという達成感を持つ。


2.内観療法のテーマ


3.内観の方法


4.内観の効果


5.家族内観
 (1)目的 (2)方法 (3)家族への説明 (4)ボディー・ワーク (5)家族内観の効果


6.集中内観後の内観的支援

 (1)日常内観の必要性 (2)院内内観懇話会 (3)家族も内観を体験

V 家族内観:
 症例:Y雄 18才、非行、不登校、家庭内暴力などで入院し集中内観を体験後、父親とのボディー・ワーク(図2)を含む家族内観を約2時間かけて実施した。終了後「家族内観で気づいたこと」の記録を依頼しその記録の一部は次のとおりである。

 Y雄:父と相撲をとったのは生まれてはじめてだった。このようなスキンシップはとても新鮮に感じられた。その後心の中がポカポカしてとてもいい気持ちになれました。ボディー・ワークは多くの示唆を含んでいることに気づきました。

 Y雄の父:今回息子と家族内観を実施して、息子は今までの行動などを振り返り、反省や感謝の言葉を素直に述べ、今後の目標などを力強く話してくれました。ボディー・ワークでは先ず相手のことをよく知り、相手の立場になって考えなければ意志が十分伝わらないことを学ばせていただきました。これを日常生活で生かそうと思っています。

W おわりに:
 筆者が最初に出会った家族内観は、不登校の女子高校生とその母親だった。実施前は双方の不安感、緊張感が筆者にまでひしひしと伝わった。背中合わせで内観中の記録を読む患者、それを聴いている母親ともに涙、涙でくず箱がチリ紙で山のようになった。 その後手をつないで動く、肩たたきをする、歌をうたうなどボディー・ワークをしていく内に、初めの緊張感はうそのように取り除かれた。

 筆者はこの家族内観を含む内観療法に関わり10年になる昨年「病気でも家族と幸せに暮せる内観療法」を出版することができた。 その後NHKラジオ番組「心の時代−“幸せへの道〜内観療法の歳月から”」を放送する機会をいただいた。放送後全国各地から問い合わせが殺到し、悩みや、苦しみを抱えてその解決を模索し内観療法に感心を持った人々が多いことを実感した。

 今後一人でも多くの人々が内観を体験し家族関係が改善、修復され早期に社会復帰する一助になることを願っている。

【参考文献】
※1) 太田耕平:幼時から高齢者までの心の発達十段階心理療法(第6版)、札幌太田病院、1997

※2) 落合雅子、原田良一、酒井佳子:精神科患者の早期退院のための工夫と在宅支援、外来看護新時代Vol.4 No3、81〜92、1999

※3) グラバア俊子:ボディー・ワークのすすめ−からだと自己発見−、創元社、1991

※4) 三木善彦:内観療法入門、創元社、1976

※5) 上野ミユキ:病気でも家族と幸せに暮せる内観療法−家族内観の方法と実際−、光雲社、2001


(図1) 身体内観(目・口・手・足)

(図2) ボディー・ワークの内容



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