子育て いじめ 不登校 ひきこもり 暴力 アルコール 薬物依存 拒食 過食症 リストカットなどの予防、解決を考える会。北海道内観療法懇話会 臨床内観療法研究会
 
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  子育て・いじめ・不登校・ひきこもり・暴力・アルコール・薬物依存・拒食・過食症・リストカットなどが社会問題となっています。これらの予防・解決に内観法、内観療法が有効であると考え、その予防・解決について考えます。

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「高齢者の問題行動の背景にあるもの―生活史をもとにその人らしい生活環境を整えて―」
札幌太田病院 急性期治療病棟
○看護師 荒川 樹奈  看護師種畑 美紀、
ケアワーカー 陣内 千春・寺本 知恵子

1. はじめに: 
 当院では、様々な対象に対し内観療法を実施しているが、中でも高齢者に対しては、スタッフが毎日内観日記を用いて、回想療法という形で聞き取りを行っている。

 今回、痴呆の進行に伴い他者への過干渉行為・徘徊が問題とされた対象に対し、毎日の回想療法と併用し、以前の仕事に似た作業を取り入れるという回想的な関わりを行うことで、問題行動が改善し、対象の表情にも変化が見られたため、その経過を報告する。

2.症例:
 K氏、70代半ば、女性。現在に至るまで単身生活を送り、長い間老人ホームの寮母として働いていた。定年後、老人保健施設に入所されるが、この頃より痴呆症状が出現。以前の仕事の関係もあり、他者への過干渉による危険行為や徘徊などの問題がみられたため、当院に入院となった。

3.経過:
 以前の仕事を思い出してか、入院してからも常に仕事をしているような行動が続き、その行動が徘徊・過干渉という形で表出されていたように思われた。その行動により、他者とのトラブルが考えられたため、問題行動の改善のため、レクリエーションの参加を促し、毎日の回想療法取り入れるなど、K氏との関わりを多く持ち、一緒に過ごす時間を増やしていった。徐々に徘徊や過干渉行動などは見られなくなり、問題は改善された。しかし数日後、K氏のADLが徐々に低下、寝たきり状態となり、せん妄が出現するなど精神・身体状態の悪化を伴った。症状は改善せず、平行線の状態が続いた。しかし、同室に介助を要する患者が入院し、この頃よりK氏の表情・言動に変化がみられ、徐々にADLが回復した。以前の仕事を思い出し、介護しなければならないという思いの表れからか、再び仕事をしているような行動を見せ始めた。これまでの経過から、K氏は長年寮母として働き、仕事をしている状況が生き甲斐のひとつになっているのだと考えた。そこで、毎日の回想法と併用し、昔の仕事に似た作業を行うことで想起できるよう関わっていった。その結果、症状の悪化を伴わず、問題点が改善された。また、問題点の改善が図れただけではなく、話す内容も具体的なものに変わり、改訂長谷川式簡易知能評価スケールも6点から14点にと変化がみられていた。

4.考察:
 毎日の回想療法とレクリエーションを取り入れた関わりは、K氏の精神を安定させ、問題行動の改善には効果的であった。しかし、徐々にADLが低下し、寝たきり状態になってしまった。一緒に過ごす時間を増やすことで、看護者がK氏の行動を阻止してしまい、その結果、症状悪化につながってしまったのだと考えた。これまでのK氏の行動から、K氏は長年寮母として働き、仕事をしている状況がK氏の生き甲斐のひとつであり、元気の源になっているのだと考え始めた。そこでリクリエーションや回想療法と併用し、昔の仕事に似た作業を取り入れ、想起できるような関わりを行った。その結果、症状の悪化を伴わず、問題点が改善された。このような回想的な関わりは、もともと持っているK氏の能力を引き出すことにつながり、K氏は再び生き甲斐を得ることができ、意欲が向上し、症状改善につなげることができたのだと考えられる。





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