子育て いじめ 不登校 ひきこもり 暴力 アルコール 薬物依存 拒食 過食症 リストカットなどの予防、解決を考える会。北海道内観療法懇話会 臨床内観療法研究会
 
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「集中内観で気づきを深めた抑うつ男性への作業療法」
札幌太田病院 作業療法課 作業療法士
市川 昌宏

1.はじめに: 
 社会的不適応をきたし抑うつ状態となった男性が集中内観で気づきを深め、自立を目標として作業療法(以下OT)に取り組んでいる事例の経過を報告する。

2.症例:
 A氏、40代男性、抑うつ状態・病的賭博と診断される。20歳頃より借金を重ねるようになり、母親に対する暴力が出現する。40歳時には借金問題のため当時勤めていた会社を退職させられている。その後は母親の年金で生活しながら職を探すが母親への暴力は続く。母を殴った後の気分の落ち込み、将来の生活への不安感、不眠、希死念慮あり。本人より性格改善、生活の建て直しの希望があり入院となる。

3.経過:
 入院1週目は抑うつ状態が続き、OTにはほとんど参加していない。安静が必要と思われ、軽く声かけする程度に留める。入院2週目より集中内観が導入される。母親の愛情への気づきやこれまでの自分に対する反省が深まり、自立の決意を新たにする。表情に明るさが見られるようになるが、OTへ積極的に参加するようになるまでには2〜3週を要した。その間病棟スタッフは受容的態度で接し、安心できる環境作りに努めている。
 OT場面では、自立という目標を中心にA氏の問題点やその時々の状態を考慮して関わった。初めはA氏との関係作りを優先し、無理に活動への取り組みを促さず、集団内で過ごす緊張の軽減、興味・関心を引き出すことを目標として関わった。抑うつ状態の軽減に伴い意欲的となりOTへ自発的に参加し出す頃からは、A氏の言葉を親身になって傾聴する態度で接し、意欲が活動に結びつくよう援助して関わった。現在A氏は積極的にOTに参加し、工夫をしながら楽しんで活動に取り組んでいる。

4.考察:
 A氏は今回の入院をきっかけにして自立を決意する。集中内観で深い気づきを得て、決意がさらに強固なものとなっているのは、内観後のレポートに綴られた言葉から窺うことができる。その後のA氏の変化は、内観によって得られた心の内面の変化と各種治療や医師・病棟スタッフ・他患との関係を含めた病棟生活全般とが良い方向に作用した結果だと考えられる。

 A氏には素直で人の良すぎる面があり、周囲の人に対して気を使いすぎる、自分の気持ちを上手く相手に伝えられない面が見受けられた。自立という目標を考えたとき、自発性や活動性を引き出して行動に結びつけ、成功体験を積み重ねながら自信をつけてもらうことがまず必要であり、その過程で問題点が軽減していくような関わりが良いのではないかと考えた。その際に、症状の影響やその時々の状態を考慮した柔軟な対応と目標へ向けての段階的な関わりを心がけた。その結果OTへの参加意欲が高まり、A氏の中でOTの場が自立へ向けた実践の場として捉えられるようになったのではないかと考えられる。

5.おわりに:
 集中内観で得た気づきと決意を今後とも持ち続けられるように援助していきたいと考える。今後は退院後の生活を見据えながら具体的な目標を持ち作業療法の場を利用していただければと思う。





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