子育て いじめ 不登校 ひきこもり 暴力 アルコール 薬物依存 拒食 過食症 リストカットなどの予防、解決を考える会。北海道内観療法懇話会 臨床内観療法研究会
 
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  子育て・いじめ・不登校・ひきこもり・暴力・アルコール・薬物依存・拒食・過食症・リストカットなどが社会問題となっています。これらの予防・解決に内観法、内観療法が有効であると考え、その予防・解決について考えます。

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高校一年不登校児への病棟内・内観療法の経過
札幌太田病院 3階病棟 看護師
藤原 絵理子

1.序論 
 当院では思春期症例の背景にある原因を浮き立たせ、根本からの回復を目指し、早期発見・早期回復に向けて内観療法を導入している。

 今回、不登校を呈する思春期症例が内観療法によって家族への気づきを深め、改善に至った事例を挙げ、内観療法の不登校への有効性を提案したい。

2.症例紹介
 紹介するU氏は10代の女性である。周囲に対しイライラすることが多く、高校進学後はリストカットをしてしまうこともあった。親友がいじめられていることで自分も悪口を言われていると思い、その頃から学校へ行きたくないという気持ちが強くなった。本人の希望もあり母親と共に来院し、非社会性行為障害と診断された。

3.病棟内・内観療法の経過
 入院後、病棟内・内観療法が導入された。当初、内観療法に対し協力的姿勢をみせていたU氏であったが、両親に対するテーマでは、自発的発言は少なく、集中力に欠け、退院したいと訴えることもあった。しかし、テーマ「養育費の計算」を与えた頃より、U氏の内観療法に対する姿勢に変化が表れ、面接時には「両親の愛情を感じることができた」「学校に行ける有難さが分かった」との発言に至った。テーマ「周りにかけた迷惑」では「リストカットを繰り返さずに、これからは原因と解決法を考えていく」と意識の向上もみられた。 内観療法終了後の家族同室内観ではボディーワークを行い、U氏より「家族との信頼関係を確認することが出来た」と述べられた。さらに、内観療法終了後より併用して行った当院からの登校では、中一日腹痛を訴え早退することがあったが、このことに対しU氏は「腹痛は精神的なものだった」と、不登校は自分の甘えであったことに気づき、その後は早退することなく登校され、入院期間約2週間で退院となった。

4.考察
 内観療法に対しなかなか集中できずにいたU氏であったが、テーマ「養育費の計算」により、U氏の内観療法に対する姿勢に変化がみられた。これは、両親が自分にかけてくれた金額を自らの手で計算することで、与えられているものの大きさを、より現実的・具体的に認識できたためであると考えられる。これにより、自己客観視による認知修正が可能となり、内観療法に対する積極的姿勢に至ったと言える。また、U氏の発言からも示唆されるように、内観療法により客観的に物事を見る「眼」が養成されたことで、親に対する安心と信頼が築かれ、登校するという一歩に繋がったのではないかと考えられる。

5.結論
1. 養育費という具体的かつ客観的視点で自己と周囲との関係を確認することは、家族に対する気づきを確固たるものにし、患者の自発的行動を引き出すことができた。

2. 自発的行動を引き出すことは、治療への積極的姿勢を支援する方法として有効である。

3. 不登校の治療には、家族関係を重視した内観療法が有効であり、患者が辛い状況を乗りきるための一歩を踏み出す一助になる。





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