子育て いじめ 不登校 ひきこもり 暴力 アルコール 薬物依存 拒食 過食症 リストカットなどの予防、解決を考える会。北海道内観療法懇話会 臨床内観療法研究会
 
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  子育て・いじめ・不登校・ひきこもり・暴力・アルコール・薬物依存・拒食・過食症・リストカットなどが社会問題となっています。これらの予防・解決に内観法、内観療法が有効であると考え、その予防・解決について考えます。

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10代ひきこもりの家族治療的援助
―強迫行為を主症状とするひきこもり青年の家族との関わり―
医療法人耕仁会 札幌太田病院 急性期治療病棟
石川 正人 佐藤 昌史 小田島 早苗 今井 佐千子

1.はじめに 
 思春期症例の問題では家族的な背景と密接な関わりがあることは多く、その家族関係について話し合うことにより、症状の軽減や治療の展開をみせることも少なくない。札幌太田病院では、思春期症例についても病棟内内観療法に導入し、これまでさまざまな成果を残してきた。今回は、内観終了後に家族への治療的援助を行なった結果、良好な経過が得られた症例について報告する。

2.事例の概要
 A、10代男性。中学校○年時より不登校となり、X-2年9月頃より、臭いや汚れに非常に敏感となり、手洗いや入浴を一日に何度もする強迫行為が出現し、また、自分の思い通りにならないことがあると物を壊す、両親に暴力を振るうなどの問題もみられた。X-1年10月頃よりこれらの状態が悪化し、父親に対して「汚いから」と部屋に入ることも拒否し、ひきこもり状態となる。これまで、B県の治療機関で投薬治療を受けていたが症状改善しない為、知人の紹介で入院治療も考慮し本院来院となる。

3.治療経過:病棟内内観療法
 入院時、治療に拒否的であり、内観担当者を蹴飛ばすなど問題が見られていたが、身体内観から内観三問へと徐々に移行し、「暴言、暴力についてごめんなさいと謝りたい。」と反省をするなど洞察が深まりを見せ内観面接を終えた。しかし、その後の心理士との面接で、「担当医が憎い」「入院したのは親のせいだ」と自己本位な怒りを訴えた為、心理検査の結果なども踏まえて、“親に対する怒り”と“怒りのコントロール”に焦点を当て面接を重ねることとした。その結果、Aは、病棟内の同世代患者との関係で生じる葛藤を言語化できるレベルに達し、担当医や親に対する不満の理由をはっきり述べることが出来るようになり概ね衝動をコントロールできるようになった。同時に、臭いや汚れに対するこだわりも薄れた。

4.治療経過:家族への治療的援助
 その後、B県より家族が面会に訪れた為、家族との面接を試みた。父親面接では、『Aは父親に向き合って欲しいという気持ちがあるのでは?』と示したところ「Aが思春期を迎え、なんとなく心が離れていってしまうのを感じて気を使ってしまったんです。叱ったら余計に心が離れていってしまうのではないかと思っていました。」と答え、Aとこれまでほとんど向き合えなかったことを内省した。また、母親面接では、「Aが中学に入った頃、夫にもう少し関わって欲しかったんです。」と父親とAの関係性の希薄さについて同様の感情を述べた。Aの強迫症状、ひきこもり、暴力などの背景には、“Aと父親との接触の乏しさ”があるものと考え、父親には、“自信を持ってAと正面から向き合うこと”を課題として提供して面接を終了した。その後、Aからの電話はすべて父親が対応するようになり、父親より、「Aの我が侭な発言に対しても毅然とした態度で臨むことができるようになりました。」と電話で報告があった。この時点でAの症状は改善され病棟内でも同世代の仲間関係を形成し、入院当初と比べ、言動も年齢相応のレベルとなり、「飲食店で働きたい」など将来像のイメージを語れるまでに至り退院となる。

5.考察
 本症例は、Aの問題が、“父親へのサイン”であるという家族の気づきにより、家族システムに変化が生じ、Aの症状改善を導いたものと考えられる。これらの経過から家族へ問題の意味をフィードバックする意義を確認した。しかし、課題として、今回は家族が協力的な態度を示した為、良好な経過を得たが、思春期症例では家族背景が複雑な場合も多く、そのような複雑なケースについて、家族への介入のタイミングや他のスタッフとの連携の問題など対応のあり方について検討を行う必要があるものと思われる。





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