子育て いじめ 不登校 ひきこもり 暴力 アルコール 薬物依存 拒食 過食症 リストカットなどの予防、解決を考える会。北海道内観療法懇話会 臨床内観療法研究会
 
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強迫神経症の20代女性に対する 病棟内・内観療法の経過
札幌太田病院 内観療法課
土江田 つや子 渡辺 綾子 小川 説子 太田 耕平

1.はじめに 
 数年間に及ぶカウンセリング治療では改善されず、母と当院を受診した強迫神経症20代女性に対し、病棟内・内観療法、家族療法などを行った。有効性が認められたため、経過を報告する。

2.症例紹介
 A子20代、大学生、診断名は強迫性障害。中学2年時に高校受験のストレスから発病し、手洗い行為や数時間にも及ぶ入浴行為が出現した。その後某精神科で7年間カウンセリングを受けたが改善せず、母に依存的であった。将来への不安感も重なり、母と当院受診し、内観療法導入となった。

3.病棟内・内観療法の経過
 入院時、ティッシュでスリッパを拭くなど顕著な強迫症状が見られた。母子分離を目的とした家族療法の必要性が判断されたため母、A子、別々の部屋で内観導入となった。

内観1日目(テーマ:母に対する自分)
回想するのに苦労しつつ、三問への回答が比較的可能であった。「今までの努力が、現在の自分を創ったと考えていた。内観により母のおかげであったと気付いた。私はがんばってきたという考えていたが、たいしたことをしていなかった。それに比べると母はすごい」と話し、感謝の念が湧いた。してもらったこと、迷惑をかけたことの多さに比べ、してあげたことの少なさに気付き「これからはもっと自立した生活を送りたい」と今後の決意を述べた。

内観2日目(テーマ:父に対する自分)
「私は父を受け入れることが出来ませんでした。幼いときから父は怖くて近寄りがたく、本当の父を見ていなかったことに気づきました。今は父が理想の男性です」と述べ、病気の理由を父のせいにしていたことを認めた。

内観3日目(テーマ:弟妹に対する自分)
「病気になるまでは、自分がしっかりしなくてはいけない、との思いから弟妹にしてあげたことが多く、有利に思っていた。一方、弟妹は、万能でない自分を理解して、不安で落ち込むと気分転換に誘ってくれた。弟妹と一緒にいる喜びを感じ、自分は一人ではないと実感した」と述べた。

内観5日目(テーマ:周りにかけた迷惑)
「今までは、病気を理由に周りを巻き込んでいた。これからは周囲に依存しないよう自分で乗り越える」と今後の決意を語った。

内観6日目(テーマ:身体に対する自分)
導入時から見られた手洗い行為、母付添いのトイレ行為などは、内観での人格的成長と母子分離により、早い段階で消失した。

4.考察
 強迫的行為は、受験期の「自分はもうこれ以上がんばれない」と追い詰められたストレスを契機に出現した。強迫行為や、将来に対する不安感を、内観により整理し「自分次第で病気は治る。今までの行動を言語化できたことで、これからは大きく変われると思います」と気付きを話し、抽象的ではあるが「これからは自立していきたい」と今後の決意を述べるに至った。家族(特に父)に対しての認知の変化は、不安解消の大きな要因と考えられた。さらに、母も内観することで、過度に密着していたことへの反省を促し、治療効果を高めた。本例から、強迫神経症の治療、回復には病棟内・内観療法や家族療法が有効であると考える。





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