子育て いじめ 不登校 ひきこもり 暴力 アルコール 薬物依存 拒食 過食症 リストカットなどの予防、解決を考える会。北海道内観療法懇話会 臨床内観療法研究会
 
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  子育て・いじめ・不登校・ひきこもり・暴力・アルコール・薬物依存・拒食・過食症・リストカットなどが社会問題となっています。これらの予防・解決に内観法、内観療法が有効であると考え、その予防・解決について考えます。

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『学校教育で今話題になっていること』
―内観法を取り入れた指導のありかた―
札幌太田病院 内観指導員
斎藤 述史

1.戦後の教育 
 ただ今紹介頂きました斎藤です。本日は中学校の現場を体験したものの一人として理論的な話でなく、実践を通した児童、生徒の生活指導や道徳教育の現状と改善策の一端を、問題提起を含めてお話しいたします。

 戦後、日本の国では道徳やしつけを学校、家庭、一般社会でもあまり真剣に教えたり指導したりしない傾向がありました。

 今まで信じていたもの全てが終戦によってくつがえされて、道徳に自信をなくした教師や父母をはじめ行政に携わる人達までが、この問題に深くふれないように避けて通ってきたからだろうと思います。

 ですから、家庭の父母が子育てに困ったり、教師が教えることにとまどってもなんら不思議ではありません。

2.教育の現状
 教育の現場に十数年前から異変がおきています。特にここ数年前位から急速に悪化して来ています。

 中学校の問題では戦後中学校の義務教育化は大きな成果をあげ、国民のレベルアップに貢献したと言われています。しかし中学生は思春期というかけがいのない時期で、心の動揺が激しく能力差が出ます。机に向かっての勉強にむかない子供に、中学校と言うただ一つのコースを義務として強制する学校の体系が、事件などの背景にあると考えられます。

 現在の学校教育では偏差値の格付けで決まる高校入試、画一的な学校のシステム。児童生徒の生活は一つの行動パターンしか認めていませんから、多数の生徒が欲求不満のはけ口として非行に走っているとも考えられます。

 いじめ等の問題はいじめられる子供は勿論、いじめる側の子供も人間として傷つき歪んでいます。このような人間関係は、大人社会の勝手主義の風潮と無縁ではないことは、多くの人の指摘を待つまでもないことでしょう。

 これらの一連の教育の出来事によって国民の多くの間から、教育の体系や内容を変えて行かなければならないという機運が高まっています。

 教育の問題は学校、家庭、地域、社会全体で取り組まなければならない問題であり、いじめや非行の情報を父母などに提供して、協力を求め、関係機関や団体との連携を図り、開かれた学校を目指すものでなければなりません。

 家庭内暴力で我が殴られたり、校内暴力で先生が殴られるということでは、未来社会を担う子供たちを育てることは出来ません。子供が親にたいして暴力を振るうようになってから説論しても、学校教育、家庭教育や育児の相談、カウンセリングは問題行動が起こる前から取り組むことが大切です。

3.今後の教育 内観法活用の有用性
内観法活用の有用性
 教育の二大機能は学校教育と家庭教育であると言われています。道徳や社会秩序、しつけ教育に於ける今日的課題の仕組みや働きを明確にして、具体的な指導実践をする重要な時期だと思います。

 ・ 学校教育の現場では学級での集団討議や、道徳の時間や相談活動を通して、内面に働きかけ自己改革をさせる指導が大切でしょう。

 ・ 家庭教育においては、起きる、寝る、食べる、働く、ことなど・道徳やしつけ教育を進める事によって生活のリズムを育て・自己改革する指導の充実が大切でしょう。

 内観法による治療効果、教育効果は大別して二つの効果があることが確認されています。

 ・ 精神的に健康な人がより人間的に成長するための援助をする。

 ・ 精神的に問題のある人に対する、心理療法的機能。


事例
 私が初めて登校拒否の生徒に出会ったのは十数年前、成績も上位で生徒会の役員もしたT君が突然学校に来なくなったことでした。

 母親は教育に熱心で経済的にも恵まれた生活をしていました。しいて言えば片親で一人っ子のため甘やかされて育ったという印象をうけました。

 親や先生は多くの方の協力と助言を得て指導をしたが、一向に解決しませんでした。毎日午前10時頃まで布団にもぐりこんでいて、昼ころから元気になり部屋の中でテレビを見て時間をつぶし、夜になる「明日は学校にいく」と準備をするのだけれど、朝になると布団にもぐりこむというパターンが続きました。

 ある日来校した母の目の周りに、大きなアザがあり「息子がやったんです・・どうしてこんなことに」と言って声をつまらせました。

 私たちはあれこれと知恵を出しあって、対処法をこころみましたが一向に効力はありませんでした。

 生徒は、卒業式にも参加しないで学校を去っていきました。間もなくオートバイで大事故をおこした。

 私が太田病院で内観法の指導をすることになって、A子を担当しました。A子は17歳、女性、中学校卒業後、理美容学校中退、非行歴では夜間外出・無免許運転・家庭内暴力・器物破損(自宅の窓ガラス)・シンナー吸引・暴言脅かし(責任を取れ・ぶっ殺す・全を出せ)などの行動が目立ったケースです。現在実家で就職はしていないが、健全な生活をしています。

 内観を進めているうちに、どうしても忘れることの出来なかったT君のことが思い出された。何と言っても私が驚いたのはシンナー常習者のA子が、集中内観の治療によって、薬物依存から離脱した毎日を送れるようになった事でした。

 一方あんなに苦労をして教師集団がT君の指導に当たったのに空振りに終わったのは、何処にどのような理由があったからなのだろう。たしかにT君に対する指導は、T君の生活史の中で非行行動を点としてとらえた範囲で問題を処理をした対処療法でした。A子に対する内観療法はA子の産まれてから現在までの、生活史の細部にわたって線で捕らえ、客観的に非行行動を浮き彫りにする心理療法的機能の効用が、発揮された事に強い関心が沸います。

 もし学校現場で内観法的手法を生徒指導に活用していたら、T君という若者を救えたのではないかと思っています。


生活のリズムを育てる指導
 意志が弱く親子関係に歪みのある子は問題行動を起こす場合が多い。親に指導していただきたいのは、生活のリズムを確立して自己コントロールできる子を育てることです。そのためには毎日仕事をきちんと与え、自分の責任でやりとげる粘りづよい意志を育てることが大切でないかと思います。

 起きる、寝る、食べる、働く、という行動は簡単なようで大変なことなのですが、持続させることに意味があり、自己が確立できていないとできません。


内観に働きかけ、自己改革をさせる指導
 たとえ暴力をふるう子供であっても、つきつめて見ると彼が好んでそうなったのではないでしょう。幼いころからの矛盾、歪みの積み重ねが要因となっている場合が多いのではないかと考えられます。指導者はその子に「人間らしく生きたい」という願いや要求が隠されていることを根底にすえて指導にあたらなければならない。今日の子供に他人に迷惑をかけてはいけない、他人の為に尽くすという指導が浸透していない。

 一般的に子供の欠点は、内面的な力が弱い事である。頑張る、粘る、耐える、悩む、考えつく、作り出す、持続させる、・・・というような自分白身との戦いが弱いので、内面を揺さぶり自己改造を迫って行く指導が必要になってきます。

 集中内観による治療によって、かなりの確率で効果が期待できるだろうと思われます。A子の場合集中内観によって心情を揺さぶり、自分に問題がなかったか、厳しく問いつめていき自分を見つめる目がつくられたと考えられます。

 内観を終えてA子は何日間かの孤独にたえ、自分自身と対話して、母親を中心とする、周囲の人に対する見方が変わり、表情、言葉づかい、態度に変化が見られたのです。


内観法と学校教育
 現状を改革するためには内観法を取り入れた具体性のある指導が、解決に貢献するはずです。そのためには外機関や医療機関と連携協力を密接にした指導体制を整えて、速やかに問題解決させる働きが必要でしょう。

 内観法の手法を使った実践は、教育的自己啓発的・心理療法的働きによって学校教育や家庭教育の中にどのように位置付けて、問題解決に迫り教育効果を上げていくか、今後の研究検討課題であり、内観法に対する期待は今後ますます大きくなるだろうと考えます。





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