子育て いじめ 不登校 ひきこもり 暴力 アルコール 薬物依存 拒食 過食症 リストカットなどの予防、解決を考える会。北海道内観療法懇話会 臨床内観療法研究会
 
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  子育て・いじめ・不登校・ひきこもり・暴力・アルコール・薬物依存・拒食・過食症・リストカットなどが社会問題となっています。これらの予防・解決に内観法、内観療法が有効であると考え、その予防・解決について考えます。

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アダルト・チルドレン(AC)の
癒しに効果的な内観療法
医療法人耕仁会札幌太田病院
上野 ミユキ

アダルト・チルドレン(AC)の癒しに効果的な内観療法 
皆様今日わ、本日はACについてのお話をさせていただきます。

ACとの出会い
 私は札幌太田病院で内観療法にかかわり、内観者の心の深い部分にあって、何年もだれにも話さなかったことなど聞かせていただいています。最初のころでとても印象に残っている青年のことを話します。

 K雄、22歳、入院理由は家庭内暴力で内観療法を受けるため、他の医療機関から紹介されて入院された方です。

 集中内観の初日、1回目の面接に行きますと「まず僕のこの話聴いてください。何歳の時かさだかではないが、僕と母さん寝ていた。そこへ酒に酔った父さん帰って玄関のブザー押したが疲れて寝ていた母さん気づかなかった。怒った父さん窓ガラス割って家に入った。そして近くにあった灰皿母さんの頭にぶつけた。すると母さんの頭から洗面器一杯ぐらいの血が出た、このこと僕忘れられないのです」と、まるで昨日のできごとのように話された。

 札幌太田病院で内観者の話を聴かせていただいていると、このように家族のだれかがアルコール依存症(以下アル症と略す)と思われる例が目立ちます。

 それで内観療法にかかわるにはアル症について学ばなくてはと思い、アスク・ヒューマン・ケア(アルコール問題全国市民協会)主催、アメリカ人でジョージィ・ディスティファーノ女史(有資格ソーシャルワーカー)の研修会に出席して、グループセラピー・ロールプレイングなど約200時間学びました。

 今日はその時の資料を参考にして話します。

ACの概念
 大人になったアル症、薬物依存症者の子どものこと。アメリカでは1980年代に、彼らがかかえる“生きにくさ”の問題が一躍クローズアップされました。さらにこの概念はアル症・薬物依存症ばかりでなく、両親の間になんらかの心理的葛藤があり、「家庭として機能を果たせない家庭」で育った人々へと広がっていきました。また、親から過剰に期待されて育った人々も含まれます。

 これらを拡大解釈しますと「AC」でない人は一人もいないと思います。生身の人間が生身の子どもを育てるのですから、多い・少ないの差はあれ、傷つけ合っていることは否めない。

 それで手、足などの傷と同じで心の深い傷は専門家の治療が必要と考えてください。


1.機能不全家庭で子どもが体験すること
 (1)家庭に首尾一貫性がない。例、親が子どもに「次の日曜日動物園に連れて行ってあげる」と約束しても、父さんは土曜日から酒を飲み、日曜日は大とらになり動物園どころでなくなってしまう。

 (2)衝撃的な体験に何度もさらされている。これは冒頭で述べたようなことを何度か体験しているのです。


2.ACの特徴
 (1)いったん始めたことを最後までやり遂げられない。このことは不登校になったり、職を転々とするのが目立つことです。


3.ACの行動パターン
 (1)自分自身の欲求を明確に表すことが苦手である。したがってコミュニケーションの技術に問題があり、イエス、ノーをはっきりさせられない。

 「AC」の人は人を援助する。医療職、教育関係の仕事を選ぶ人が多い。自己表現が十分できないため「ノー」と言えない。従って働きすぎ、相手に巻き込まれる・燃えつきるなどが目立ちます。

 (2)自分自身の中に怒りの問題を持っている。この感情を周囲に迷惑をかけずに処理できず、周囲に八ツ当たりや爆発することもある。

 例、親が養父母に育てられたり、異母兄弟などで他の人と差別された育ち方をして、怒りの感情などを持ったまま結婚する。やがて子どもができると、この怒りなどが無意識のうちに子どもに八ツ当たりすることが目立ちます。


4.ACへの援助方法
 (1)イメージトレーニングにより過去の心の傷にふれ、それを癒すよう援助する。(図1参照)

 心の深い部分に押し込められていた、子どもの時の寂しさ、悔しさ、悲しさなどの気持ちを思い出し、耐えたり、我慢した自分を自分でほめてあげる。

 これを統けることで「自分の中の子どもが癒される」。やがて寂しさ、悔しさなどの気持ちが薄れる。すると酒、薬などに頼らなくても良い自分になれるのです。

 (2)日記をつけ、その中から否認や歪曲(わいきょく)を見つめなおし、事実を事実として率直に認め、受け入れるよう援助する。当院では入院者のほぼ全員に内観日記を書いてもらっている。このように「ACの癒しに内観療法はとても効果的」と確信しています。当院で集中内観を体験された方の集まりである「院内内観懇話会」で図1を用いている。中には激しい情動を伴って子どもの時の気持ちを話される方もおられる。

◎ACの人も家族と幸せで楽に暮らせる方法
 集中内観で自分を見つめる→してもらったこと、迷惑、心配かけたことが多く、してかえしたことが少ないことに気づく→悲しみを癒す作業をする。「AC」は無邪気な子ども時代を失っている。悲しさ、悔しさ、怒り、失ったものなど正直に見つめ十分感情を吐き出す(泣く、怒るなど)。どうにもならなかった自分を受け入れる。→この過程で自分の責任外で起こったことなど区別できるようになる。→今までの自分の問題解決や対人関係での表現方法はどうであったかに気づく。→自分も相手も大切にする表現方法(アサーション)を身につける。

 例、「ものを頼む」時の基本的技法、(1)的を絞る。(2)くりかえす。(3)相手の反応を受けとめる。(4)効果的な歩みよりをする。(5)自分の気持ちを伝える。→各自の方法でこれらができるように努力する。

 このアサーションはアメリカで自己表現がうまく出来ない人の「行動療法」としてはじめられたのです。日本で生まれた「内観療法」とアメリカやヨーロッパで盛んな「行動療法」の組み合わせです。

 医療に従事する者として、目の前で苦しんでいる方々の治療とともに、予防も必要と思いながら、常日ごろかかわらせていただいています。
合掌



図1 自分の中の子ども(インナーチャイルド)を癒す方法



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