子育て いじめ 不登校 ひきこもり 暴力 アルコール 薬物依存 拒食 過食症 リストカットなどの予防、解決を考える会。北海道内観療法懇話会 臨床内観療法研究会
 
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登校拒否児への医療現場でのかかわり
―心身症小児の理解と対応―
社会福祉法人 楡の会 こどもクリニック院長
氏家 武

こどもの心身症 
 心身症とは、狭い意味では、精神の緊張や不安が身体に影響を及ぼし身体そのものに疾患が発症した場合にそれを心身症と呼び、病因が心因性であると言う。例えば、成人ではさまざまな心因で気管支喘息や十二指腸潰瘍、高血圧症などが心身症として発症することがよく知られている。小児でもこのような明確な身体疾患が心身症として発症してくることがあるが、たいていは嘔吐や頭痛、下痢など単純な身体症状が心因に反応して生じることが多いのが小児の心身症の特徴である。

 また、広い意味では、精神の緊張や不安によって本来の疾患(器質的な疾患でもかまわない)の症状や経過が影響を受けて特異な状態が形成される場合も心身症に含み、小児の場合にはこのタイプが非常に多いのが第二の特徴である。例えば、風邪をひいて学校を休んだ後に風邪の理学的な所見が消えても症状が残って学校を休む、自家中毒や起立性調節障害に登校拒否が合併する場合などである。

心理的な問題を抱える子どもへの対応
(1) 子どもが訴える症状は実際に体験されている本当のことであり、詐病(仮病)ではない。「検査や診察で異常が見つからないこと」=「病気ではない」ということではない。

(2) 心理的な問題にはそれなりのきっかけ(原因)は必ずあるが、本人はそれを自覚していないことが多い。
(3) 心理的な問題を生じるまでには、きっかけとは別に、その子どもと家族や学校などを含めた生活環境との交互作用の長い悪循環過程が必ずある。

(4) 心理的な問題は、子どもに強い罪悪感や劣等感をもたらし、それが心理状態をますます悪化させたり新たな情緒的問題を引き起こすことになる。

(5) 子どもの心を解ろうとするにはその子に信頼されなければならず、そのためにはまず親に信頼されることが重要になることが多い。

(6) 子どもは特に年齢が低ければ自分の気持ちを言葉で表せないことが多く、さまざまな手段によって子どもの心の重荷を開放される工夫が必要である。

不登校児の心理
1.極初期の段階
 心気症的症状を訴えて学校を休み始めた子どもも親も、症状の原因は100%身体の病気だと信じている。このような時期には、異常がないからといってサボリと決めつけて親や子どもを責めたり叱ったりするのではなく、また、安易に投薬したり必要以上に学校を休ませるべきではなく、最低限の診察や検査にとどめ、栽や子どもを安心させ登校をすすめるのが登校拒否の予防となる。

2.初期段階
 登校拒否の心理が次第に明らかになってきた初期段階でも、子どもはなぜ登校できないのか自覚していないことが多い。ほとんどの登校拒否児は、学校には行かなければならないということは十分承知している。しかし、登校に際して非常に大きな不安を抱いているので、心理的には強い葛藤状態に置かれている。このような時には、「なぜ学校に行けないのか」とか「学校を休んでいることをどう考えているのか」などと本人を問い詰めることはせず、どのようにしたら本人が比較的楽に登校できるかを家族が学校の教師と共に考えるようアドバイスする。不登校期間が1〜2ヵ月位なら、積極的に登校を励ます方が早期に学校へ復帰することが多いが、この時、本人を決して叱る必要はなく、あくまでも援助するという気持ちを家族がもつことが大切である。さらに、登校拒否児への対応が母親任せになっている家庭では、本人への取り組みに父親を真剣に参加させる必要がある。また、この段階では、医療機関や相談機関へ本人を無理に受診させる必要はなく、学校と家庭の連携により問題が解決する場合が多い。

3.長期化した段階
 不登校が長期化している場合には、その取り組みは全く別となる。すなわち、この場合には、登校拒否児に登校を強制するのではなく、自分の殼に閉じこもってしまった子どもの気持ちを理解し、受容する対応が必要である。このような精神心理療法的なアプローチは専門家にゆだねられなければならないが、受容的な態度は本人をとりまく全ての大人が身につけなければならない。子どもを受容することによって、子どもは次第に安定し、徐々に変化し発達していくようになるのである。したがって、現実的にはこの段階での治療の結果が必ずしも登校再開とはならず、新たな進路を家族と共に発見していくことになる場合もある。しかし、どのような場合でも、家族、学校教師、および治療者との連絡は必要不可欠であり、子どもが安心して生活できる場を見出すことが重要である。また、登校拒否児が義務教育の時期にあるうちは、登校再開の可能性をあきらめるべきではなく、学校教師の家庭訪問や訪問授業なども積極的に試みられるべきである。

不登校児が立ち直るために必要なこと
(1) まずは安心させること。
  ・不登校に伴う罪悪感の除去
  ・学校、教師との信頼感の樹立

(2) きっかけの解決を図ること。
  ・いじめや対人関係のトラブルの解決
  ・学業不振への援助

(3) 子どもに見合った解決目標の設定。
  ・再登校を促す時期かどうかの見極め
  ・専門機関や病因との連携

(4) 学校での取り組みや受け入れは全校的な視野から。
  ・友人(子どもが最も信頼している人物)からの働きかけ
  ・保健室登校、特学利用
  ・担任や関係教師の家庭訪問
  ・いじめへの全校的な取り組み、不登校の全校的な理解

(5) 子どもとその家族が安心できる受け皿を探すこと。
  ・スクールカウンセラー
  ・学校以外の教育、福祉、医療機関
  ・フリースクール
  ・精神科デイケアなど





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