家族内観の効果

医療法人耕仁会札幌太田病院 内観療法課

篠田 崇次

1.     はじめに

家族は人間にとって最も基本的な人間関係であり、心身の発達にも大きな影響を与える。そして家族の問題が精神科領域の疾患の背景になることも少なくない。児童・思春期においてはその傾向が顕著である。そうした問題の解決には、患者個人を治療の対象とするだけでなく、家族関係の改善を行なう家族療法が重要となる。当院における家族療法である家族内観の効果について検討したい。

2.     方法と結果

平成199月から翌3月までの19歳以下の家族内観を体験した症例30名について、治療記録および当事者レポートを質的に検討し、@情動体験の有無、A内容の分類を行なった。その結果は以下の通りである。

(1)情動体験が見られた例:2730例(90%)

本人・家族とも:1327例(48%)本人のみ:227例(7%)家族のみ:1227例(44%)

(2)内容の分類(同一レポート中に複数の分類あり。以下は主なもの)

1)本人

 @「家族の気持ちがわかった」など相手理解:1930例(63%)

 A「言いたいことを言うことができた」など自己表出:1330例(43%)  など

2)家族

 @「本人の考えを聞くことができた」など相手理解:1430例(47%)

 A「きちんと話し合っていなかった」など対話不足の認識:1930例(63%)

 B「親のあり方を気づかされた」など自己反省:2130例(70%)    など

3.     考察

家族内観において情動体験は重要な役割を果たす。情緒的な交流を促進し、相互のメッセージを直接的に送受信することが容易になると考えられる。また、家族にとっては自己の反省を通し、円環的因果関係に気づくことも可能なことが示唆された。

4.     おわりに

一方で、「何を話せばいいかわからない」、「無理しているように見える」などネガティブな意見も見られ、導入時期、方法等に今後も検討の余地がある。