叱り方の極意 〜教育は基本が第一〜

学校法人池上学園理事長 

池上 公介

<はじめに>

教育にたずさわって40年、幼稚園児から大学生まで、ありとあらゆる子供達に接し、どの子供達も全て同じで皆んながそれぞれ素晴らしい可能性を秘めている、それが環境や教育によって色々と違ってしまう。

私は始めはエリート教育をやっていた。世に言うトップ層の英才を送り出して行った。東大、京大などに幾多の生徒を送り出し、わたしの生徒達が全国各地の英語弁論大学等の優勝を総なめにして行った。わたしの使命はエリート英才教育だと思っていた。

     15の春を泣いた子ども達

ところがテレビのニュースが私の人生をガラリと変えることになる、とは思ってもいなかった。25年前のある日のテレビニュースで、札幌に一つしかなかった中学浪人の予備校が計画倒産をして、15の春を泣いた生徒達が放り出されたことを知る。子供達を裏切った大人が許せず、私財を投げ打ってでも彼らを救おうと決意する。一流高校の受験に失敗した18名を1年間、徹底的に教育をして、次の年、札幌南高校、北高校をはじめとしてトップ校へほとんどの生徒を合格させる。

     4年目の挑戦

大変だった一年目を何とか乗り切り、順調に3年間が過ぎていった。最初はAランクからCランクまでの生徒が対象だったが、入試可能のH、Iランクの生徒にも手を差し延べる。そこでどの生徒達は素晴らしい伸びを見せてくれる。

教育しだいでこんなにも子どもたちが変わることに驚いてしまう。かなり自信もついた4年目の春に、大変なショックを受ける出来事があった。

ガン病棟から抜け出て来た母親が子供を助けて欲しいと面談に来る。子供達は最低ランクのMランクで、どこの高校にも入れない現実を知る。本人に会ってみると、中学3年間オール1で、勉強が何もわかっていなかった。学校は何をやってくれたのか。怒りでいっぱいになる。そして、そんな子供達がいる事を知る。何とか助けたい、と彼らのためにもクラスを作る。

     輝く子供達

ばかだ、アホだと言われた子供達が、1年間で着実に成績も伸びて行った。一人ひとりに合った池上方式の個別指導の始まりであった。教育とは字のごとく教え育てると思っている人達が多い。しかし私は、英語でeducationは引き出すことである。まず認めてあげる、そして褒めて励ます事が何よりも大事である。そこで本当の「叱り方」が出来るのである。一年間で不可能と思われていた彼らの全員高校合格が現実となった。

一年間だけに限定したクラスであったが、彼らの訴えでそのクラスを続けることにする。そこから次から次へと色んな子供達「学力不振、非行」が奇跡の大逆転を見せてくれる。

そして月日とともに不登校の子供達が増えてくる。

     子供達は皆んな同じ素晴らしい種

色んな背景が原因なのだ。特に家族の在り方、父親・母親のあり方はとても大事である。

戦後60数年で、我が国の良い部分を否定してしまったことは、とても問題である。

日本人のかつての生き方、色んなものがなくなってしまっている。家庭内の父権の欠如や、特に食べ物について言えば、日本の伝統食が西欧化されてしまった。食育の必要性を感じずにはいられない。人間は食物の化身。日本人には日本人に合った食生活があったのに、すっかり崩れてしまい、それと同時に日本人の生き方も崩れてしまったのだ。ます置き忘れて来たものを取り戻す事が、もっともしなければならないことだ。