「いじめ、不登校から回復した女子児童について」

札幌内観研修所所長

五十嵐 一夫

 

イジメが起きると家族も学校もPTAも全体に波及拡大し親同志の大問題に成ることがある。だから私は子供だけの問題として、只独りだけで、解決させて来た。あくまでも友人間同志の学びとして受け止めさせた。先生にも父母にも放任させた。不満も言われたが結局最後は静かに笑顔で円満解決した。

 先づ小2の女子生徒。母子二人暮らし。毎日母の叫ぶストレス声を背にして登校した。気弱な態度はクラスのターゲット。誰も話し相手無し。教科書、ノート、鉛筆、筆箱ケースはカッターナイフで切り裂かれ、刻まれた。何も使えない。家庭学習に赤い白玉模様のエプロンをして行ったら自分の不在時にやはりカッターナイフで切り刻まれていた。悲しく、絶望したが私の言葉を思い出し全ては自分の成長の学びとして受け留めていた。実に必死。泣き乍ら相談に来た。現状を紙に書かせた。黙視して心を落ち着ける瞑想静坐をさせた。

書いた紙を見乍らこれからの自分をどうするかを考えさせられた。書き乍ら自分独りで決心した。「私は生徒。勉強する。誰にも負けない。武道習って強くなる。」諦めない字だったが私が書き直した。それから夏休みに内観に来て、内観も勉強も、武道も練習した。毎晩、坐禅してから床に就いた。落ち着いた心で一週間をやり遂げた。イジメッ子なんか平気になった。母親が迎えに来た。母が戯に一寸手を出したら逆手をかけられて悲鳴を上げた。娘の急変に驚いた。登校した夏休み明けの日、イジメ六人に囲まれた。平然とボスに立ち向い完全に捩じ伏せた。大泣きして従来の謝罪をした。女の子は自信が湧き、何でもやれば出来る自分を知った。その後、成績向上しクラス委員に成った。全員がその子を認めた。自分独りでやり遂げ、親も先生もPTAも笑顔一杯で喜んだ。実はこの子のイジメ問題がテレビや新聞に出たからである。HBCSTV、東京テレビ、朝日新聞にまでも取り上げられたのである。全国、道内からの問い合せで大いに困った事がある。

 もう一つ例を上げる。赤子の時、小児マヒになり、一生不自由な身となった人だ。生きる目的も希望も喜びもなく、松葉杖を突いて死ぬ場を探してた人が来た。小学生時代から人にイジメられ、見下されて来た人だ。家族にも遠慮していた。内観に来た。生まれて始めての喜びを感じた。だが矢張りすぐ不満の中に陥ち込んだ。こんなカタワ者はどうにもならん。彼を励ませるものは無い。私は彼と一緒に風呂に入った。背中も洗った。二人は涙ばかり。私は丹田下腹から静かに言った。「おい、カタワは、カタワで完全無欠。何処に不足がある。」二人は無言が続いた。これが我が『内観禅』で有る。その後、彼は本格的に坐禅に没頭した。このまま完全無欠。不足無し。天地同根。

宇宙即我。完全無欠の彼と成った。